電気を消費するだけじゃなく、クリーンエネルギーを作るお手伝いもしてるんです
こんにちは、ウラナレ編集部です。
パナソニックというと家電製品のイメージを持たれる方も多いでしょう。
冷蔵庫、洗濯機、テレビ、エアコン、IHクッキングヒーターや照明も。パナソニックの商品だけで家じゅうの家電がすべて揃うんです。
これらの商品たち、電気を使うばっかりだよね~と思われている方も多いと思います。
もちろん、省エネ性能をアップさせるために日夜努力してお客様にお届けしているのですが、確かに「電気を消費する」ものであることは確か。
でも実は、電気を消費するだけでなく、電気を作るお手伝いもしているのです。
太陽光発電をコアに生活者の身近なところからクリーンエネルギーを普及させ、脱炭素社会へと着実に歩んでいくためにパナソニックにできること。
今回は、意外に知られていない、でも皆さんにぜひぜひ知ってほしい私たちのエネルギー事業のウラガワをお伝えします。
広島で始まった2つのソーラー発電事業
4月4日、中国電力は広島県で2つの発表を行いました。
1つは「ソーラーカーポートPPAサービス」の商用化スタート、もう1つは「完全自立型EVシェアリングステーション」の実証実験のスタートです。
PPAとは「Power Purchase Agreement(電力販売契約)」の略。
工場や店舗、一般家庭の屋根や敷地に、電力会社などの発電管理会社が太陽光発電システムを無料で設置し、発電した電力を店舗や一般家庭など敷地所有者に販売して利益を得る仕組みです。
今回スタートした「ソーラーカーポートPPAサービス」は、名前のとおり太陽光発電をルーフ上に搭載したカーポートで、太陽光で発電した電気はカーポートに駐車するEV(電気自動車)の充電だけでなく、隣接する店舗やビルなどの母屋に引き込み、日常的な主電力・補助電力としても利用でき、また災害時などでは非常用電源としても利用可能です。
カーポートの仕組みはこんな感じです。
カーポート本体を含む機器の費用、および建設費用はすべて中国電力が賄い、利用者の初期投資は土地を用意することだけ。
利用者は中国電力に対して、発電した電気を月々の電気使用料として15年間支払い続けることで同サービスを利用できるんです。
この間の機器メンテナンスのコストも中国電力が支払い、15年の契約を満了すると、機器はすべて利用者に無償譲渡されます。
つまり、ソーラーカーポートを置ける場所さえあれば、太陽光で発電した電気を活用できる。地球のためのワンアクションができます。
いっぽう、「完全自立型EVシェアリングステーション」は、上記ソーラーカーポートに蓄電池と電気自動車シェアリングサービスを組み合わせたもの。
完全自立型とあるように、中国電力が火力や水力で発電した系統とは一切つながっておらず、カーポートだけで発電・充電・給電が完結しています。つまり、天気のよい日中に太陽光パネルで発電した電力を充電池およびEVに充電し、走行して電力を使ったEVが戻ってきたら蓄電池から充電するという仕組み。
2台のEVは中国電力が運用する有料カーシェアサービス「eeV」を通じて近隣の企業や個人に貸し出されます。
こちらは実証実験なので、広島産業会館の駐車場に1基だけ設置された状態。
太陽光による発電と蓄電池への充電、EVの走行距離や貸し出し時間帯・頻度の傾向、充電状況など、系統につながない完全自立型でどのような運用ができるかを検証していきます。
沖縄からつながる脱炭素社会への取り組み
ソーラーカーポートPPAサービスと完全自立型EVシェアリングステーションにパナソニックがどう関わっているのか。
「太陽光パネルや蓄電池といった製品を納入しただけでは?」と思った方もいますよね。
実はそれだけではありません。
事業の企画立案から法令やリースなどの環境整備、機器開発、事業スタート後の保守・運用まで、広く深く関わっているのです。
パナソニックは以前から太陽光発電事業のサポートを手掛けてきました。
2019年に沖縄県の宮古島にて地元ベンチャー企業と協業し、市営住宅に太陽光発電とエコキュートを無料で設置、キッチンやシャワーの給湯にかかる電気代を徴収するというPPAモデルの実証実験をスタート。
2021年には、沖縄電力が一般家庭の屋根に太陽光発電を搭載、蓄電池もセットで無料設置し、太陽光発電した電力を設置家庭に販売するPPAモデル「かり-る-ふ」事業の立ち上げにも協力しています。
この沖縄のPPA事業をきっかけに、全国の電力会社から太陽光PPAモデルに関する相談や、事業立ち上げに協力してほしいとの問い合わせが舞い込むように。今回の中国電力のケースもその1つです。
PPAモデルこそ日本の脱炭素社会を支える仕組みに?
宮古島と沖縄本島のPPAモデルも手掛けてきたスマートエネルギー営業部の西川弘記主任技師はこう語ります。
後編でお話ししますが、西川にはPPAモデルこそが日本の脱炭素社会を支える仕組みになりうるとの思いがあり、それには、短期的に終わることなく、長期的に運用可能なシステムづくりが必要との強い信念がありました。
●地球温暖化を阻止し、豊かな理想社会実現に向けてできること
松下電器創業者の松下幸之助は、「精神的な安定と、物資の無尽蔵な供給が相まって、初めて人生の幸福が安定する。自分が松下電器の真の使命として感得したのはこの点である」とし、「物も心も共に豊かな理想の社会を実現する」ことを生涯目指し続けました。
松下幸之助の創業から100年が過ぎ、理想社会の実現のためにパナソニックは何をなすべきか。パナソニックホールディングス社長の楠見雄規のnoteでこう語っています。
パナソニックは現在、製造活動で年間220万トンのCO2を排出しているだけでなく、パナソニックグループの製品は世界中で愛用されており、その消費電力からのCO2排出量は年間約8,600万トンと試算されています。
さらに、当社のバリューチェーン全体からの排出量は年間約1.1億トン。
脱炭素社会に向けてパナソニックは、製造現場でのCO2削減や製品の省電力化を進めていくのはもちろんですが、パナソニックだからこそ他にもっとできることはあると考えています。
電気を消費する製品を製造している立場だからこそ、クリーンエネルギーの普及のお手伝いをすることで社会全体のCO2削減を図る。
パナソニックだからできること。
パナソニックだからやらねばならないこと。
今回の広島PPA事業へのかかわりも、その一環なのです。
後編では、完全自立型EVシェアリングステーションおよびソーラーカーポートPPAにおいて、法整備やカーポートの開発などパナソニックが果たした役割、パナソニックがかかわる意義を深掘りします。
後編乞うご期待!