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技術が日本の子育て世代のお母さんを救う~パナソニックの新事業になるか?センサリールームの挑戦~

こんにちは!ウラナレ編集部です。

このゴールデンウィークは昨年に比べ、旅行などに行った方も多いのでは?
次の連休は7月までないという事実を受け入れられていませんが…早速元気にまいりましょう!

小さなお子さんがいるご家庭は、コロナ禍によって日々の外出の機会は減り、今までとはまた少し違う子育ての悩みを抱えているお母さんが増えているように感じます。

例えば
なかなかママ友ができない…
気付いたら子どもとの会話ばかりで、大人同士の会話がない…
リモートワークの影響で子どもが静かに過ごさなきゃいけない時間が増えた…
子育てに疑問があってもなかなか相談する場がなく、不安…

子どもにとっては、ママやパパの心が穏やかなこと、余裕があることがすごく大事。なんてこともちろん分かってはいるけれど、いつもそんな理想の姿でなんていられない。

私たちパナソニックとして、光を使って少しでもママ・パパの手助けがしたい。
そんな社員の思いが詰まった「センサリールーム」をご紹介します。

ヨーロッパ発祥の心が落ち着く部屋「センサリールーム」

そもそも「センサリールーム」というワードを初めて聞いた方も多いですよね。

センサリールーム(Sensory room)は、光・音・匂い・振動・触覚の素材など、乳幼児の感覚を刺激するさまざまなアイテムが用意された部屋のこと。乳幼児だけでなく、大人にとっても大変心地よい空間です。
近年、ヨーロッパで子どもたちや親子のセラピー施設でも用いられるようになり、保育園などにも普及してきています。

センサリールームの中では焚き火と同じような効果があり、心が穏やかになり、人と打ち解けやすくなったり、コミュニケーションがより自然に取れたりします。

センサリールームを通じてパナソニックの社員が叶えたいこと。
キーマン2人に思いや経緯を聞いてみました。

きっかけは社内ビジネスコンテスト

センサリールームの提案を進めるキーマンは、ソリューション開発本部でライティングを担当する渡邉健太と、当時ブランド戦略本部でパナソニックセンター大阪の運営を担当する三浦美賀子。
そして現在はライティング分野にて新たな価値の創出に取り組んでいる矢澤宗厚も含めた3人が中心となって提案活動しています。

自らの技術や事業を子育て世代の役に立てたいという思いの重なりがありました。

左から三浦、渡邉、矢澤

渡邉は2年前の2020年に、社内のビジネスコンテストに、パナソニックの照明技術を利用したセンサリールームをプロデュースする事業アイディアを提案。

センサリールームは、先述のとおり五感を刺激するさまざまな要素が用いられる一方で、それら全てが揃っている必要はありません。光を用いないセンサリールームもあるのです。

渡邉は光の要素を積極的に取り入れ、親子がコミュニケーションをしやすい環境を作ることで、子どもたちの日常をより豊かにすることに使えるのではと考えました。
日本で馴染みの薄いセンサリールームを、照明技術に強みのあるパナソニックが主導して普及させれば、照明を配慮したセンサリールームの価値が広く認知され、新たな照明ニーズへとつながるはずだと捉えました。

ソリューション開発本部 ライティング担当の渡邉健太

私は照明事業に携わることから、『幻想的な光の空間』を何度も体験したことがあります。光が人に与える効果を目に見える形で表すのは難しいのですが、必ず価値があると信じています。このため、光の価値に気が付く人や、癒やしや教育に積極的に活用する人を増やしていきたいのです。

しかし、社内ビジネスコンテストでいくら注目されても、企業はエビデンスがまったくないことに大きな投資はできません。
「立ち止まってエビデンスを作っていたら置いていかれてしまう」という焦燥感はあるものの、細かな数字まで示せなくてもせめて実証実験だけでもしないと先には進めません。

センサリールームの可能性を信じる渡邉は、どこかで試せる場はないか探すことになりました。

子どもへのケアと同じくらい、疲れているママたちを助けたい

一方、三浦はブランド戦略本部のスペースクリエイツ部に所属し、パナソニックの社会貢献活動やブランド価値向上に取り組んできました。

当時ブランド戦略本部 パナソニックセンター大阪運営担当 三浦美賀子

日々の業務に追われる中、パナソニックの家電製品で時短や家事負担は減っているはずなのに、子育ては全然楽にならないのはなぜだろう?モノだけではなく、心に寄り添う活動が必要だと社内で訴えていました。

シニアや児童に対する寄り添いももちろん重要ですが、その間にいる、特に若いお母さんたちに手を差し伸べる取り組みは、自社内だけでなく他の企業を見回しても少なく、もっと事業化できるはずだと三浦は考えていたのです。

親と子のコミュニケーションを進めるには、実は子どもへのケアと同じくらい、疲れているお母さんをまず助けないとダメだと思っています。

もちろんお父さんを除外するわけではありません。しかし今の日本では、子育ての中心=お母さんが多数派ですよね。
まずはお母さんのケアの必要性を世間や企業に訴えながら、お父さんも取り込んでいく形が現実的。三浦には、人々や企業に共感してもらえる方法を探すことが課題となっていました。

三浦が渡邉のプランを知ったのは、2020年の年末のこと。すでに世の中は新型コロナの流行で外出する人は激減。
三浦はパナソニックセンター大阪で、来場者がほとんど来なくなってしまったコーナーを親子でホッとできる居場所にしたいと考え、社内での情報収集をしていたところ、渡邉のセンサリールームについて耳にしたのです。

二人のニーズが合致したことで、パナソニックセンター大阪の1コーナーをセンサリールームの実証実験の場として使用することになり、2021年4月に「あるままOYAKO」としてオープン。

パナソニックセンター大阪内にあったあるままOYAKO(2022年1月閉鎖)

『孤育て』をなくし、一緒に子育てを楽しむ場に

「『孤育て』をなくし、一緒に子育てを楽しむ場」として子育て世代が直面する悩みや課題に寄り添うサードプレイスとしてスタートした「あるままOYAKO」。
児童館のようなしつらえで、おもちゃや絵本、おままごとのキッチンなどがあり、親子がコミュニケーションを取れる場としてセンサリールームも併設しました。

センサリールームはたくさんの親子に体験してもらうことができました。

・普段は人見知りや場所見知りの激しい2歳の娘が、ここは特別なようですぐに慣れた
・子どもと遊べるだけでなく、癒される空間と体験はここでしか得られない。元気が出る場所をまた作ってほしい。
・凄くリラックスできるので、何度でも体験したい。家の近所のエステに行く感覚で通えるセンサリールームがほしい。

このクチコミを見ただけで行ってみたくなった方もいるのではないでしょうか。

コロナ禍でも多くの利用者に愛された「あるままOYAKO」ですが、パナソニックセンター大阪の閉鎖に伴い、2022年1月に発展的に解消。

渡邉と三浦は次のステージに向けて準備をスタートしました。

子どもの好奇心を刺激し、子どもが「ダメ」と言われない空間に

2022年5月、センサリールームはパナソニックだけで運営するのではなく、パートナーとなる企業や自治体と協力しながら、さまざまな場所での展開を模索するステージに突入。

その第一歩として、ベビー・子ども関連ライフスタイルブランド「ファミリア」とコラボレーションし、ファミリア神戸本店の1階奥にあるスタジオで体験イベントとして「Panasonic センサリールーム」を開催することが決定。

【「Panasonic センサリールーム」イベント概要】
●日時:2022年5月28日(土)、29日(日)
●場所:ファミリア神戸本店
●URL:
センサリールーム パナソニックとファミリアのコラボレーションイベントを神戸本店で開催! | familiar ファミリア公式サイト

ファミリア神戸本店外観(ファミリア提供)

今回ファミリア神戸本店で開催する「Panasonic センサリールーム」では、スタジオ内に大きなテントを1つ設置し、内部にゆっくりうつろう光と優しい音楽で非日常的な空間を作り出します。
実際に編集部も体験したのですが、センサリールームに入った瞬間から心がふと軽くなるような、落ち着く雰囲気に包まれました。夜の水族館のような、幻想的な雰囲気に癒されました。

テントは天井も高く、大人三人でも余裕を持って入れるサイズなので、子どもにとってはかなり広く感じるはず。
ふかふかの絨毯の上には、ビーズクッションや、ファミリアのオリジナルキャラクター「ファミちゃん」のぬいぐるみなど、癒しアイテムが。

光ファイバー

アイテムの中でもひときわ目を引くのが、ゆっくりと色の変わる光ファイバーの束。三浦はこの光ファイバーは子どもの好奇心をくすぐる重要なアイテムだと言います。

小さな子どもは、光を自分で動かせる機会がなかなかありません。光を持ち上げたり、巻き付けてみたり、振ってみたり‥色々な体験ができます。

センサリールーム内に置くものは、子どもたちが触ってもよいものだけ。

「危ないから触っちゃだめ」家庭内では子どもの安全のためと思い、つい使ってしまいがちなこのフレーズもご存じの通り、子どもにとってはストレス…。
常駐するオペレーターが「ゆっくりやさしく触ってね」など、ダメという言葉を使わずに子どもの行動を誘導します。(三浦も積極的にオペレーターとして参加します。)

ママが心から笑って楽しそうにしているだけで、子どもは大丈夫

オペレーターはお子さんたちだけでなく、ママにも声を掛け、子育ての相談などにも乗りながら、親子をリラックスさせていきます。

オペレーターが話しかけることで、自分の子どもの特徴に改めて気が付くお母さんもいます。
自分が疲れていることを理解してホッとすると、だんだん肩の荷がおりてくることもあります。
お母さんが心から笑って楽しそうにしているだけで、子どもは大丈夫。お父さんの気持ちが楽になることにもつながります。

すべての子どもが最初から夢中になるものでもなく、およそ2割程度は暗めの照明を怖がってお母さんにしがみついてしまうそう。
子どもの多様性を否定せず、そういう子もいることを受け入れ、無理せずゆっくりと順応してもらっています。普段と違う空間に不安を覚える子どもをリラックスさせるには、やはりお母さんの心の余裕がキーです。

価値に共感してくれるパートナーを探したい

今回のファミリア神戸本店とのコラボレーションは、パナソニックからの持ちかけで実現しました。

センサリールームの効能は言葉の説明だけではなかなか伝わりません。ファミリアの担当の方にこの話を聞いてもらった直後は、「本当かな・・・」と少し半信半疑な様子だったように感じました。
が、実際に体験していただくと、『すごく癒され、提案されていたことがわかった!』と言っていただけたんです。

「Panasonic センサリールーム」は光の演出を重視しています。しかし、あまり型にはまったパッケージにするつもりはありません。
今回も使用する照明は商品ではなく試作品で、パソコンからいろいろな制御ができるものになっています。
最終的な商品にするまでに、まだまだやることが残っています。現在の私の課題はセンサリールームの認知向上と、パートナーの募集です。今回はファミリア様の協力を得て、キャンプ用のテントを使い、ファミちゃんなどのアイテムもお借りしました。こうしたアイテムはパートナー次第で変わっていくものだと考えています。

渡邉は使用できるスペースの大きさや、使えるアイテム、重視したい部分などをすり合わせながら、パートナーに応じてカスタムしていき、参加する親子にとって一番効果のある演出を探っていきます。

設置もできるだけ時間を取らないよう工夫し、今回の「Panasonic センサリールーム」のパッケージは、2時間で全部のしつらえが完了できるようになっています。

三浦も運用面の課題を指摘します。

センサリールームという空間を作るだけでは、この場所は生きてきません。オペレーションする人や寄り添う人、話を聞く姿勢みたいなものが付随しないと、『キレイだね』『写真撮ろう』『さようなら』で終わってしまいます。
寄り添いの部分をパッケージに入れてスキームを作る必要があり、パートナーを探すうえでもパッケージの質を落とさないことが重要だと考えています。

まずは関西や関東の近郊、ゆくゆくは日本全国で、センサリールームの価値に共感してくれるパートナーを探したいというのが二人の考え。共感重視、まずは相談して欲しいといいます。

私たちは強い想いを持って、技術力を社会貢献活動に活かし、さまざまな取り組みを行っています。技術で、より良い、よりあたたかい世界に繋げていきたい。

子どもはそれぞれみんな違う。
親だってそれぞれみんな違う。
1人ひとりに寄り添うこと。
これまでも、そしてこれからも、私たちが大事にしていきたい考え方です。

センサリ―ルームのプロジェクトに賛同したい!という方は
ぜひ下記までご連絡ください。
panasonic_sensoryroom@ml.jp.panasonic.com