「トップダウン」より「ボトムアップ」!若手従業員の意見をたっぷり盛り込んだステートメントのウラガワとは
企業理念、社是、ミッション、ビジョン…
それらの言葉を聞いてどんなイメージを持つでしょうか?
「経営者の高い理念が凝縮されたもの?」
「会社の目標みたいなもの?」
「そもそも、その会社で働く人にしか関係ないもの」だと考える人もいるかもしれませんね。
企業理念とは、企業の存在意義や目指すところ、考え方を簡潔に表現したものです。いろいろな会社の企業理念を見てみるのも、意外な発見があって楽しいかもしれませんよ!
今回のウラナレでは、パナソニックの企業理念について、ちょっぴり真面目なウラガワをお届けします。
そもそも、パナソニックグループは、持株会社である「パナソニック ホールディングス株式会社」、そして「8つの事業会社と国内外の関係会社」で構成されているということをご存じでしょうか?
それぞれの会社に企業理念があり、それぞれが全く異なる分野から人々の生活をよりよくするための活動を続けています。
その中で、私たちウラナレ編集部が紹介しているのが、「パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社」の取り組みというわけです!
昨年2021年の4月…パナソニック株式会社エレクトリックワークス社(以下、EW社)が発足しました。
EW社には、既に「ビジョン」がありましたが、新たに「事業スローガン」、そして「ステートメント(※)」を策定しました。
一体なぜなのでしょう。
EW社の社長、大瀧清さんにお話を伺ってみました。
ステートメントって?ビジョンとは違う存在価値
ステートメントを発表する前の2021年の夏、EW社は「ビジョン」を策定していました。
このビジョンを作った理由を、大瀧社長は次のように語ります。
大瀧社長:2030年を見据えて、各事業会社、分社がそれぞれ中期計画を策定しました。そのゴールに向けて、従業員はもちろん、取引先のパートナーの皆さん、一般の消費者の皆さんに対して、EW社がどこに向かっていくのか、分かりやすく伝えたいという思いから生まれたものです。
EW社の事業内容を既にご存じの方には、違和感なく理解できる文章です。
しかし、簡潔なだけに、
「EW社についてよく知らない人には具体的なイメージが湧きにくい…」
そういう声も聞かれたそうです。
大瀧社長:ビジョンはセンテンスが短く抽象度が高いこともあって、現場からは『自分ごとになりにくい』という声も上がってきました。
そこで、具体的にどんな領域で何をしていくのかを分かりやすく噛み砕き、社員やお客様、そしてEW社について知らない人にもわかりやすく伝えていくようなステートメントを作ることにしました。
カギは若手従業員の声!その狙いとは
具体的にステートメントを作成するにあたっては、経営層やミドルマネジメント層だけではなく、20〜30代の若手従業員の声を聞くところから始まりました。
大瀧社長:やもすると、会社のビジョンは上から降ってくるイメージがあると思います。
しかし、2030年に向けて、衆知つまり皆の知恵を集めて一丸となって進んでいこうとする中で、上意下達のような「トップダウン」よりも、「ボトムアップ」の考え方が非常に重要だと考えたのです
大瀧社長:また、2030年には今の若手世代がビジネスを担う中心世代になります。
彼らは社会貢献に対しても高い意識を持っているのが特徴です。自社の事業と社会課題をどう結びつけるのか、またどんな働き方を理想としているのか。
そういった様々な観点から意見を出していくことで、自分たちが中心となり、自分ごととして事業をドライブしていってほしいという思いもありました。
ざっくばらんなディスカッションで、思いを可視化
ステートメントの策定にあたって、具体的にどんな議論が行われたのでしょうか。まずは、「あなたが思う未来の社会課題」「その社会課題に対して、EW社が取り組んでいくべきこと」といったお題が与えられ、ざっくばらんなディスカッションが行われました。
いきなり結論を出そうとするのではなく、普段みんなが感じていること、思っていることを出してもらい、「それ、いいね」といった乗っかりもOKにして、気さくに意見を出し合ったそうです。
あくまで「会議」ではなく、「自然な会話」のような形でディスカッションが行われたそう。
そして、若手従業員から出された様々な思いを元に経営企画室やコミュニケーション企画室が原文案を作成し、大瀧社長を含めた経営陣が目を通します。
大瀧社長:ちょっと文章が硬いところがありましたが、最初から芯は外していなかったですね。
若い人が社会課題を真剣に自分ごととして捉え、脱炭素、次世代の働き方、災害への備えの3つの文脈で、私たちは仕事をするんだ!という熱意をひしひしと感じました。
さらに文章が研ぎ澄まされていき、お客さんにも刺さる言葉に変わっていったのが嬉しかったです。
このように、若手従業員や経営陣、社員みんなの想いが詰まったステートメントがどんどん構築されていったのです。
“今”、そして“未来”のためのステートメントに
こうして完成したステートメントがこちらです。
大瀧社長:完成した文章を見て、私はものすごく腹落ちしました。我々の存在意義がより明確になったなと。1行目の、『世界が大きく変わろうとしている今。私たちにできること。』は我々が何をすべきか、という意識が強く出ていると思います
続く中段では、「脱炭素社会」「次世代の働き方」「災害への備え」の3本を軸に、実現したい未来が書かれており、事業会社としてのEW社を知らない人でも、読むだけで事業分野や事業内容が理解できるものとなっています。
とくに大瀧社長に響いたメッセージは、最後から2行目、
『未来のために今日をあきらめるでもなく、今日のために未来をあきらめるでもない。』だったそうです。
大瀧社長:一人ひとりに「自分はどう考えて、何をすべきなのか」。そういう気付きを与えてくれるメッセージであり、若い人の感性の豊かさを感じました。
未来にCO₂を増やさないために今我慢するのではなく、快適に暮らしながら良い未来を実現するために何をすべきか。逆に、今日のために未来をあきらめないためには、意識して自らを成長させる必要がある。それが、ひいては会社の成長、世の中の成長につながっていく。そういったメッセージも込められているのではないか。
この一行は、なかなか含蓄のある一行だなと思いましたね。
最後の一行では、それらを「電気設備」でかなえていくのがEW社であると、具体的なイメージとしてまとめられています。
パナソニックのEW社は、配線器具や照明器具といった、生活に欠かせない製品で社会に価値を提供する。
この事業スローガンは、すべてのお客様や従業員だけでなく、これから入ってくる新入従業員やキャリア社員、さらには子どもたち、パートナー、投資家など、私たちを取り巻くステークホルダー全体に対してのメッセージでもあるのです。
今回は、大瀧社長の目線でステートメント策定のウラガワをお伝えしました!
後編では、実際に策定の議論に参加した若手社員の声を取材!
具体的にどのようにステートメントが作られていったのか…
そのウラガワをたっぷりとご紹介します!
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