光のデザインが切り開く、新たな屋外空間価値
こんにちは、ウラナレ編集部です。
コロナ禍になってからマスク、ソーシャルディスタンス、換気など気を遣いながらも、今まで以上に日々の楽しみ方やささやかな喜びを見つけ出すのが上手くなった気がしませんか?
密にならない場所で外の空気を楽しめることが何よりの幸せだったり、外食するときもテラス席が空いていると嬉しくなったり。
日常の姿が少しずつ戻りつつあり、コロナ禍からの夜明けを感じさせる明るい兆しが街の光景からも見え始めています。
今回のテーマは、ずばり!屋外を彩る照明です。
「脇役」と思われがちな照明ですが、実は空間の「主役」にもなり得ることをご存知でしょうか?
本日2022年5月23日にお披露目した私たちの建築照明器具ブランド「SmartArchi(スマートアーキ) 」の新製品について、開発のウラガワにスポットライトをあててご紹介します。
屋外空間での時間を楽しむ新しいライフスタイルを灯す照明
今日発表された新製品、その名は「llumiro(ルミロ)」。
ネーミングの由来は、「illuminate(空間を演出する) +rod(棒)」で、これまでにはない新たな空間価値を生み出すことを目指して誕生しました。
昨今は店舗外のテラス席の利用拡大や、夜間活動の活発化を促す「ナイトタイムエコノミー」の拡大など、屋外空間で時間を楽しむライフスタイルが広がっています。
外構や植栽演出による景観の向上に加えて、人を基点とした「安心・安全」「心地よさ」「感動・発見」という新たな空間価値に対する需要も高まっています。
こうした社会背景もあり、街は今、都市公園と民間事業者による公園開発が活発に行われています。みなさまのお近くの大きな都市公園でも、最近公園内におしゃれなカフェがオープンしたなんてこともあるのでは?
これは、通称「Park-PFI(公募設置管理制度)」と呼ばれる事業で、民間活力を活かして、緑化やオープンスペースの整備・保全を効果的に推進し、緑豊かで上質かつ魅力的な街づくりを行い、集客力のアップを図ろうという施策です。
パークPFIにより、公的負担を抑えながらも公園内には民間事業者による飲食店や売店などの魅力的な施設の設置や充実したサービスを導入しやすくなりました。
結果、最近の都市公園ではこれまで以上に人が集い、活気に満ちた憩いの場所になりつつあります。そして現在、これまで以上に上質で心地よい空間が求められるようになっているのです。
今回誕生した「ルミロ」は、こうした街や社会的需要に応えるかたちで、わたしたちパナソニックが新たに創出した、街の快適空間のための灯りです。
光の表情までデザインできる技術
ルミロ最大の特長は、なんといっても眺めたくなるような美しく情緒的な光のデザイン。
これはマイクロプリズムの効果で、光の表情を自由にデザインしているのです。
光の一つひとつの粒の配光を制御し、最適な輝度に調整することで、上質な雰囲気に加え、しっかりとした明るさでありながら眩しさを感じにくい街灯照明を実現しています。
ルミロのような照明が、人々が集う都市公園などの空間に置かれることで、屋外で滞在する時間がより心地よく感じられるようになることを目指しています。
今回のルミロは、空間用途に合わせて4つのタイプが展開。
それぞれ光の表情に違いがあるのが分かるでしょうか?
「ルミロ」のプロジェクトには、パナソニックEW社の20代と30代の若手のメンバーが携わりました。“光の表情をデザインする”という新しい取り組みに挑むにあたってのスタート時について、技術本部でライティングのデザインを担当した城寳俊亮は次のように明かしました。
ルミロに欠かせない、導光技術とは?
導光デバイス技術を簡単に言うと、光を閉じ込めておき、所定の位置から取り出すことのできる技術。液晶のバックライトなどにも使われている一般的な技術です。「Broad Washer(ブロードウォッシャー)」という商品でも既に採用されています。
今回の技術を担当する、ライティング開発センター 光学デバイス開発課の市川拓也はこう言います。
導光デバイス技術には、大きく分けて次の2つの方式があります。
①拡散ドット方式
導光板、導光ロッドの表面に、印刷やシボ加工によって拡散反射面を設けることで、そこで光が拡散反射して光ります。加工が簡単な反面、光は拡散するだけで、照射する方向の制御はできません。
②マイクロプリズム方式
導光板、導光ロッドの表面に、微細な凹みを設けることで光を取り出します。凹みの斜面で光が反射、透過し、光が外に出ます。 斜面の角度(プリズム角)に応じた方向に光が出射し、棒状や板状といった発光体の形状や大きさに加え、発光の方向、量、分布など、光の出方の形を変えることができます。
他にはないルミロの導光板・導光ロッドの特長
「ルミロ」で採用されているのは、このうちのマイクロプリズム方式。さらに、一般的な方式に加えて、他にはないユニークな3つの特長があります。
まずは、3次元形状の導光ロッドの発光体の全周に2万個のマイクロプリズムを配置したことにより、360°発光することができ、光を自由にデザインできること。
2つ目は、視線方向へ光を飛ばさず周囲を照らすことができる配光制御が可能なこと。
マイクロプリズム方式の場合には、もともと配光制御が可能ですが、 ルミロでは発光部を眺めることを想定し、視線方向が眩しくならないよう、かつ照明として周囲を適切に照らすことができるように、プリズム形状とプリズム角が最適設計されています。
2万個のプリズムを密度差をつけてうまく配置することで、 LED光源から離れた場所で発光させる「リモート光源」にすることが可能で、そこに光源があるかのような不思議な発光体を実現しています。
3つ目は、煌めきの演出。円筒ロッドのレンズ効果に加えて、導光ロッドの前面側プリズムと背面側プリズムの角と配置設計を最適化することで、それぞれ別の配光を持たせて微妙な光の重なり加減を生じさせ、 眺める視線位置を変えると煌めきを生み出すことができます。
現代建築に調和するデザインー街灯として「ルミロ」が目指したものと未来への想い
ルミロは屋外照明ですが、昼間はオブジェクトとして空間に佇むもの。
景観に溶け込むよう外観もこだわってデザインされました。モチーフとなっているのは、オイルランプ。
屋外に設置されるのが前提であるルミロは、強度や防水性など耐久性についても高い水準で試験が行われ、品質においても高い自信を持っているとのことですが、見た目の上でも、丈夫であること、安心感、堅牢感も意識してデザインされたと言います。
屋外用の照明器具としてのルミロの革新性は、デザイン性と配光を両立させたこと。最後に「今後も、照明による新しい空間価値の創出にチャレンジしていきたい」語る城寳の目からはその意志を強く感じました。
屋外空間を彩る照明も日々進化し、「脇役」から「主役」になる存在だったとは。
夜風が心地よく感じられるこの季節、少し照明に目を落としてみてはいかがでしょうか?やわらかな光にきっと心も癒されますよ。