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省エネ&快適性の両立!オフィスの『メリハリ照明』って?

こんにちは!ウラナレ編集部です!

寒い冬が過ぎ去り、最近はすっかり暖かくなりましたね!日照時間も長くなってきて、活動時間が伸びた!なんて人もいるのではないでしょうか☀

降り注ぐ暖かな太陽を見上げると、自然と笑みがあふれますよね(⌒∇⌒)ニッコリ

そして、気持ちが明るくなる・・・といえば・・・
そう!照明ですよね!(ちょっとこじつけすぎ?笑)
従来からの蛍光灯をLEDに換えるだけでも、空間が明るくなって気持ちが上を向きます。

今日は、そんなココロが上向くお話――オフィスの『メリハリ照明』についてご紹介します。

これからのオフィス照明は、省エネ+働きやすさがマスト!?

オフィスでは就業時間中、ずっと点灯していることの多い照明ですが、最近は環境に配慮して節電することもあたり前になりつつあります。

ビルの消費するエネルギーの収支をゼロにしようという、ZEB(Net Zero Energy Building)の考え方でも、照明は大きなウェイトを占めています。

昨今は、これに加えて従業員が健康的で働きやすい職場を構築するため、オフィス環境を整えていく考え方も広まってきており、そこでも照明の果たせる役割は少なくありません。

たとえば!最近のLED照明は、1つの照明器具で「さわやかな印象のある昼光色」や、「あたたかみのある温白色」など、光の色を切り替えられます。

デスクに当たる光は昼光色の照明に。休憩室の光は落ち着き感がありコミュニケーションしやすい雰囲気のある温白色や電球色の照明に。

場所や用途によって、採用する照明を変えるオフィスも増えてきました。

施設によっては夕暮れ時になると光が自動的に暖色系になって、心理的に退社を促すなんてものもあるんです!

そんな変化の著しいオフィス照明の最先端をいくのが、パナソニックの『メリハリ照明』!詳しくご紹介していきましょう!

ウワサの『メリハリ照明』で働きやすさUP!

『メリハリ照明』は商品名ではなく、パナソニックが提唱するオフィスにおける照明演出手法の一つです。器具の性能だけに頼らず、空間全体を最適設計することで「快適と省エネの両立提案」の実現を目指しています。

かつてはオフィスの快適性環境対策は相反関係にありました…それを、従業員目線での多様なニーズに対応する「適所適光」の照明設計によって、相乗関係にある空間にしよう!というのが『メリハリ照明』なのです。

少し概念的でわかりづらいかもしれません。ここからは、『メリハリ照明』の導入によって大きくリニューアルした、パナソニック新潟工場での例を挙げながら説明していきます!

こちらは、パナソニックの新潟工場の厚生棟2Fにある執務室です。

通常の均一照明の部屋(左)は、室内が均一に明るく、人が作業しないスペースも明るく照らしています。(照明器具:天井埋込型の下面開放型器具)

一方、『メリハリ照明』(右)では室内に明るい場所と暗い場所が意図的に作られます。(照明器具:配線ダクト+小型シーリングライト+スポットライト)

明るく照らされているのはもちろん作業スペースです。
対して、暗くなっているのは人が作業しないスペース。

人の通り道はやや暗く、人が通ることもない場所はもっと暗くすることで、執務スペースにちょうど良い「没入感」「落ち着き感」を生み出しながら、無駄な照明の光を省いています!

また、執務スペースだけでなく、打ち合わせスペースやコミュニケーションスペースには、カジュアルなペンダント照明器具などを用いて『メリハリ照明』を施すことによって、人が会話しやすい雰囲気のある空間が作れます。

Before(均一照明イメージ)          After(メリハリ照明イメージ)

これまで新潟工場のオフィスフロアには、外部からの視線を意識せず、集中して個人作業やWeb会議に没頭できる空間がありませんでした。

そこで、遮蔽された内装と『メリハリ照明』による集中しやすい雰囲気のある照明演出を施した個作業ブースや打ち合わせスペースを設けることによって、オフィスの使用率が向上!従業員からも喜びの声が上がっています。

作業面はリニューアル前の750lxと同じくらいの照度を保ちながら、周辺の照度は700lxから250lxに下げることによって、消費電力も大幅に削減。
約40%の省エネに成功しているんです💡✨

メリハリ照明の計量スプーン?!『メリハリ値』とは?

『メリハリ照明』を主に開発したのは、パナソニック エレクトリックワークス社 ライティング事業部 エンジニアリングセンター中央エンジニアリング部 照明ソフト開発課 のメンバーです。

照明におけるメリハリで大切なことは、明るいところと暗いところが明確に意識できること

『メリハリ照明』の開発ポイントは、この明暗の組み合わせを、今までの経験や感覚だけに頼って作るのではなく、数値で論理的に設計できるようにしたことなんです。

実は、照明のちょうど良いメリハリ具合を言葉だけで説明するのは至難の業…!

「没入感のある明かり」「ドラマチックな明かり」「落ち着いた明かり」などと形容的に表現しても、感じ方は人それぞれ…どうしても抽象的で個人差のある世界になってしまいます。

照らされた面の明るさを表す代表的な照明指標に照度値(ルクス(lx))があります。

しかしながら、照度値(たとえば500lxと750lx)は明るさのレベルは表現できますが、光のメリハリ度合いは表現できません。明暗のバランスを言葉で説明しようとしても、ふわっとした表現にならざるを得ないのです。

照明のメリハリの度合いを誰もが同じ尺度でやりとりするには、まずメリハリ感を定量的に表す計量器を作るところから始める必要があったんですね…

屋内照明ソフト開発課はこの解決手段として、照明指標『メリハリ値』を開発しました。

照明の指標作りは、調理にたとえるなら計量スプーンを開発するようなもの。🥄

それがなくても調理はできますが、レシピ通りの美味しい料理を作るには必要で、他の人とレシピの情報を交換するための共通言語としても欠かせません!

『メリハリ値』は、具体的には水平面の照度の比を表しています。

オフィスで重要になる水平面の場所は2つ。1つは作業面(デスクの上)。もうひとつは周辺面です。

この2つの水平面の照度の比と人が感じるメリハリ感について、複数の評価者に協力していただき統計的な関係を調べました。

その結果、照明指標である『メリハリ値』と、人が感じる『メリハリ度合い』には、強い相関があることが分かりました!そこで、人が確実にメリハリを感じ始める値(しきい値)を求めるとともに、メリハリ設計を定量的にサポートする照明の指標として提言することにしたのです。

開発メンバーの第一人者である不破 正人(中央エンジニアリング部 照明ソフト開発課)が苦心したのは、「メリハリ値が現場に即した実用的なロジックになっているのか」、提唱した指標を自ら実践検証することでした。

不破:『メリハリ照明』を実現する上での有効な設計ツールになっているのかを確認するために、数度の再現実験、既存現場との突合、実フィールドでの実践を、粘り強く行う必要がありました。

ラボで実証実験を数度やって、フィールドでもテストして…。実際に社内件名を推進して、確認のためのリアルCGもたくさん作ってもらって…。

指標が間違っていれば、とたんに照明設計が崩れてしまうことを考えると、不安の絶えない日々でした。

結果的に、『メリハリ値』の汎用性と再現性を確認し、「働くシーン」ごとのおすすめのメリハリ値を導き出すところまでこぎつけるのに、およそ2年を費やしました。

たとえば、コワーキングスペースで意図した光のメリハリが知覚でき、なおかつ均一照明と比べて好ましい印象が得られるのは、『メリハリ値』が2~3の間となります。

『メリハリ値』が5以上となると、より没入感を感じやすくなるためコミュニケーションスペース等には向いていますが、一方で陰鬱な印象を伴うため、開放感も重視されるコワーキングスペースには推奨しない…といったことがわかってきたのです。

エコと快適の両立を、より高い次元で実現していく

オフィスで重要な照射面は机とその周辺であることを先ほどお伝えしましたが、『メリハリ照明』は働く場の中心である机を主人公とし、作業面で作業する時間が快適になる状態を目指しています!

これは見方を変えれば、室内で机の配置が変わると、その都度『メリハリ照明』も設計し直す必要があるということ。

結果的に、レイアウトが頻繁に変更される空間は、均一照明が適しているということになります。

この様に、オフィスの使用方法によって、向き・不向きがある『メリハリ照明』ではありますが、現在は新築やリニューアルの現場で、お客様が望む働き方に寄り添った照明演出と省エネを両立した照明プランが建てられる体制も整いつつあります。

不破:まだ、『メリハリ値』を活用して照明プランを行う方は多くありません。まずは、社内の設計技術者や技術営業の方々を対象に周知を図り、より、お客様の納得性や信頼性を高めた照明提案ができる。
これからは、そのような環境を構築するのが目標です。

何年か後、新しくなったオフィスを訪れて、エコで快適な照明を見た時、そこには『メリハリ値』の理論が適用されているかもしれませんね…!


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