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非接触スイッチを施工してみた!という電気工事士さんのための記事を作ってみたので読んでほしい

現場での工事も大変な暑い時期に。現場で働く方々には、ますます頭が下がります。エアコンがない戸建て新築の工事などでは、十分水分を取るようにしてお仕事に励んでください。

さて先日ご紹介した「スイッチの本質」を突き詰めたからこそ実現した非接触スイッチ。多くの方にご覧いただきまして、ありがとうございました!

公共施設や公民館、学校や役所、病院やグループホーム、飲食店やレンタルオフィスに使うと、触らなくてもON・OFFの操作ができるので利用いただく方々に喜んでいただいている非接触スイッチ。

そこで今回のテーマは「非接触スイッチの壁のウラガワを施工のポイントと共にお伝えします!
今回はタイトルにあるように、電気工事士さん向けに少しではなく、かなりマニアックな内容でお届けします。

非接触スイッチを施工してみよう

【ご注意】非接触スイッチは、住宅用の電材のため施工にあたって電気工事士の資格が必要になります。

非接触スイッチは近づく手を検出するため、消費電力は1W以下とわずかですが常に電源が必要になります。そのため一般的な壁スイッチと少し施工が異なります。
そこで前回話を聞いた大阪の門真で回路設計から全般を担当している石川が再び登場。

非接触スイッチは赤外線センサーで手を見張っているので、常に電源が必要です。
ですから壁のコンセントのようにLiveとNeutralが必要です。Liveは「ライブ」「ホット」「プラス」「非接地」と呼ばれる線(極)で検電器のランプやブザーでお知らせしてくれる側です。一般的には、屋内配線用IVやVVFなどの黒で配線されます。
一方Neutralは「ニュートラル」「コールド」「GND(グランド)」「接地」、ほかにも「マイナス」と呼ばれる線(極)です。一般的にはVVFなどの白で配線されます。

検電器。ペン型でコンセントや端子に当てると、LiveとNeutralを判定できる。
電気工事士の必須アイテム

非接触スイッチを施工する場合は、埋め込みボックスにこの2線が来ていることを屋内配線図面なども合わせて確認してください。
なお非接触スイッチは、照明や換気扇のスイッチとして使え、次のような定格となっています。

定格電流:4A
定格電圧:100~242V AC
※入力電流の合計が3.3A以下、突入電流の合計が250A以以下であること(換気扇の場合100V ~200W、200V ~400Wまで)
消費電力:1.0W以下(待機時)
適用電線:φ1.6、φ2 銅単線(より線使用不可)
使用場所・住宅、事務所などの屋内用。屋外での使用や過酷な取扱いを受ける作業所、水気のある浴室など高温、多湿の場所では使用不可
使用周囲温度:-10~40℃

非接触スイッチ(WTA1711W)は、接続方法により3線配線と4線配線が可能です。

【3線配線】

非接触スイッチの1,2番端子に電源をつなぎます。ON時に4番端子に出力されるLiveを負荷に入れ、Neutralに落としてください。なお負荷がNeutralに落ちているか十分に確認してください。

【4線配線】

非接触スイッチの1,2番端子に電源つなぎます。負荷は3,4番端子に挟みます。負荷の落とし先の極性をチェックする必要がなく安全確実な配線方法です。

通常は4線配線にすると施工が簡単で確実です。なお3線配線にする場合、負荷がNeutralは「ニュートラル」「コールド」「GND(グランド)」「接地」につながっているかを念のため確認してください。

【注意】
200V(単相3線などGNDのない電源)で利用する場合は、後述の検知距離スイッチを「切」にしても感電の恐れがあるためブレーカーを切ってください。

コンセント混合、他シリーズからの移行する場合の施工方法動画はこちら👇

非接触スイッチが使えるところ・使えないところ

既存のスイッチを非接触スイッチに取り替える場合には、注意が必要です。

照明などによく使われる「片切りスイッチ」は、Liveのみを開閉するスイッチなので、非接触スイッチの電源が取れないため使えません。
また階段のスイッチで使われる3路(4路)スイッチの交換用にも使えません。これも片切りスイッチと同様の理由です。(石川)

片切りスイッチは「アドバンス」や「コスモシリーズワイド21」シリーズでは青になっています。これは非接触スイッチに取替えできません。写真はWT5001
黄色の3路スイッチ(階段スイッチ)の変わりにも使えません。
ウラガワの刻印を見ると3路スイッチと分かります。写真はWT5002
4路スイッチも黄色でウラガワの刻印を見ると分かります。写真はWT50049

接触スイッチは本体奥行きが取り付け枠から32.6mmあるため、電線の配線工事を楽にするのに埋め込みスイッチボックスの深さは42mm以上(9.5mm厚の石膏ボード+標準ボックス相当)あるものにしてください。非接触スイッチと共に新発売したアドバンスシリーズの露出増設ボックス(WVA7200W)は深さ45.5mmなので対応可能です。

斜線部分が厚さ9.5mの石膏ボード

非接触スイッチは電圧100~242V(AC)対応です。同じ製品を100Vでも240Vでも利用できます。
なお2022年5月末現在、片切りスイッチや3路(階段)スイッチを非接触スイッチに取替え可能な製品を開発中です。追って発売しますのでしばらくお待ちください。

片切りスイッチの施工方法動画はこちら👇

スイッチの感度調整で少ない誤動作で便利に使う

実際に施工したあとは、感度などの調整が必要になります。

非接触スイッチの感度や操作音の有無は、パネル裏側のスイッチで設定します。パネルは左右のツメで固定されているだけなので、左右どちらかを引っ張ると簡単に取り外せます。

スイッチプレートのカバーを外し、非接触スイッチにパネルを外す。なおパネルを取り外した状態では、手を近づけてもスイッチは動作しません。感度のチェックをする場合などは、必ずパネルをつけてテストしてください。
パネルを外すと感度調整や操作音の設定ができる

右上のスライドスイッチは手までの距離(感度)を設定します。
「長」は10cm、「短」は5cm程度で手を検知しスイッチを動作します。なお「切」にすると手をかざしても反応しなくなります。

「長」「短」どちらの場合でもどの方向から手を近づけても基本的に反応しやすさに違いはありません。ただし、正面から極低速でゆ~っくりと手を近づけた場合は反応しにくくなることもあります。

検知距離スイッチで手の検出距離を切り替え可能。スイッチを横切る人などで誤動作が起きないように設定するといい

「長」で感度が良すぎる場合や人の往来の多い場所、また隣り合って非接触スイッチを並べて施工する場合は「短」に指定します。

「操作音 無/有」はスイッチが切り替わった時になる音の有無を設定できます。「無」にすると切り替わり時の音がしなくなります。「有」にするとON時に「ピピ」、OFF時に「ピー」と鳴ります。また白い表示ランプは、ON時に明るく、OFF時にぼんやり光ります。なお表示ランプを消すことはできません。

「手動 切/入」スイッチは、パネルを外した状態でスイッチをON/OFFします。手の検知は反映されないので、導通テストなどに利用します。

非接触スイッチが広まれば、もっとやさしい世の中に

病院やグループホーム、学校や公共施設など不特定多数が触るスイッチは、ぜひ非接触スイッチに取り替えてみてはいかがでしょう? 消毒にかかる手間を合理化でき、みんなに安心・安全な非接触というやさしさを届けられます。

戸建て住宅やマンションなどでも多数の引き合いがあるということなので、一般の方も非常に興味を持っているようです。実物を見てみたい場合などは、取引先のパナソニックにご相談ください。

今回は電気工事士の皆さんに向けた記事。
きっとここまで読んでくださった方は電気工事関連のお仕事をなさっている方でしょうか。

とってもマニアックだけれど、私たちの技術や最新の機能を実際に私たちの生活に組み込むのは皆さん電気工事士さんたちなんですよね。施工してもらえてやっと私たちの商品の良さが発揮されるわけですから・・・
いつも本当にありがとうございます。

これからもこんなマニアックな記事も、みなさまにお届けします。
そして、電気工事士のみなさまにきっと役立つ情報は「DENZAI TERASU」にまとまっているので是非ご覧ください!


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