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パナソニックが技術の力で実現する「人にも環境にも優しい照明」とは

照明技術が発達した現在「美しい星空」はどの国にとっても貴重な財産。このため、世界には暗い空を守り、光害問題に取り組む「ダークスカイ(DarkSky)」というNPO団体があります。ダークスカイでは世界各国にある星空の美しい地域を「星空保護区」として認定しているのですが、2023年8月には福井県大野市にある南六呂師エリアがアジアとしては初めての「アーバン・ナイトスカイプレイス」に認定されました。このアーバン・ナイトスカイプレイスの認定で活躍したのがパナソニックの「星空に優しい照明」。パナソニックはこの「星空に優しい照明」だけではなく、さまざまな環境に優しい照明を開発しています。

南六呂師エリアに設置されたパナソニックの「星空に優しい照明」

美しい星空と住民の安全、両方を守るパナソニックの照明

南六呂師エリアはアジア初のアーバン・ナイトスカイプレイス認定地区で、このアーバン・ナイトスカイプレイスというのは「近隣にある都市光の影響を受けつつも、暗い夜間環境を保護するために優れた取り組みをしている保護区」ということ。じつは星空保護区には複数のカテゴリーがあり、日本での星空保護区認定は南六呂師エリアで4例目になります。パナソニックは今回の南六呂師の認定だけではなく、2021年に岡山県井原市美星町で認定されたアジア初の「ダークスカイ・コミュニティ」認定もサポート。両方の事例で星空保護区の認定に必要な「星空に優しい照明」を提供しているのです。


巨大な天文台を所有し、「星の郷」としての人気も高い岡山県の美星町。2021年11月に「ダークスカイ・コミュニティ」の認定を受けました。ここでもパナソニックの星空に優しい照明が活躍しています

とはいえ、そもそも「星空に優しい照明」とはどのようなものなのでしょうか?じつはダークスカイの認定で重要となるポイントのひとつが、防犯灯や道路照明、建築外構の照明などの「屋外に設置する照明」の仕様です。南六呂師エリアでは、道路や公共施設のすべての屋外照明が、ダークスカイが定める「星空に優しい照明」の条件を満たしています。その条件とは

1 上方光束比が0.0%であること

2 電球色となる3000K(ケルビン)以下であること

 の2つ。最初の「上方光束比が0.0%であること」とは、簡単にいえば照明器具より上方向へまったく光の漏れがないということ。これを達成するために、パナソニックの「星空に優しい防犯灯」は照明左右に光を漏らさないための黒いカットルーバを配置しています。

パナソニックの「星空に優しい防犯灯」。照明左右を黒いルーバで覆うことで、上方向に光が逃げることを防いでいます。

もうひとつ、一般的な防犯灯は広い範囲を照らすために30°ほど斜めに傾けて設置しますが、星空に優しい防犯灯は光が上に漏れないように、地面に対して平行に設置しているのも特徴です。


南六呂師エリアの防犯灯を上から撮影したところ。防犯灯の下は明るく照らされていますが、照明上部分に光が漏れていないのがわかります

ふたつめの「色温度」とは光の色のこと。色温度は高いほど青白い色になり、低いと赤みがかった色になります。一般的な防犯灯は5000K程度の白っぽい色温度が多いのですが、ダークスカイが提唱する3000K以下はオレンジ色に近い電球色。色温度が低い(色が赤に近い)ほど大気中への散乱が小さく、夜空を明るくしないという特徴があります。パナソニックの光害対策照明は、この2つのポイントを抑えたことで日本のメーカーとしては初めてダークスカイから「星空に優しい照明(Dark Sky Friendly Lighting)」の認定も受けています。

グラウンドを明るく照らしつつ光漏れを抑制するグラウンド照明

 星空以外でも屋外照明は環境にさまざまな影響を与えています。環境省の「光害対策ガイドライン」によると、人工光の不適切使用によって生じる漏れ光は周辺住民の安眠に影響をおよぼす可能性があるほか、歩行者や車の運転者の視認性を阻害する、鳥や虫などの動物や農作物、生態系にまで影響をあたえる恐れもあるそうです。以前ウラナレでも紹介した「ホタルと人が共存できる照明」 も光害対策のひとつだといえますね。

ウラナレではいままで、パナソニックが作る「アスリートファーストの照明」などの解説をしてきましたが、パナソニックのグラウンド向け照明には光害対策に力をいれたものもあります。それが、学校のグラウンドや、多目的グラウンド、広い駐車場、ゴルフ練習場など、住宅地や田畑の近くにある広い場所を照らすのに向いたLED投光器「アウルビーム」シリーズです。

’(図①)パナソニックの光害対策投光器「アウルビーム」は、地面をしっかり照らしつつ、必要が無い上方向の光を抑制します。これにより、グラウンド上ではしっかり明るいのに周辺住宅ではまぶしいと感じさせない照明を実現しています

実はアウルビームのような「近隣に迷惑をかけにくい光害対策投光器」は複数のメーカーからでており、そのいずれもが上方向などの余計な光を抑制することで近隣への光漏れを減らしています。ただし、一般的な光害対策照明は基本的に遮光ルーバなど使って上方向の光を「遮る」しくみ。一方、パナソニックのアウルビームは2枚のレンズを使って上方向を照らす光を「曲げて」軌道を制御しているのが特徴です。

アウルビームのしくみ。2つ目のレンズで本来上方向を照らす光を下方向に曲げています

光を「遮る」しくみだと一部が無駄になってしまいますが、パナソニックの「曲げる」方式なら無駄になる光がありません。このため、性能的に遮光ルーバの照明よりも、アウルビームの方がグラウンドを明るく照らせるというメリットがあります。これは、ひとつのグラウンドに必要な照明の数を減らせるうえ、電気代も省エネルギーになるということでもあります。そのうえ、一般的な光害対策投光器のように「庇(ひさし)」のように飛び出るルーバや反射版がないことで、照明本体がコンパクト。さらに「レンズで光をコントロールする」という特性上、照らしたいところを明るく照らし、 照らしたくないところはスパッと暗くすることができるのです。

ところで、アウルビームは光軸から上方15°の光度 (図①参照)を2,500cd(カンデラ)以下に設定しています。じつは最初に紹介した環境省の光害ガイドラインには「E1(自然)」から「E4(都市部)」までの4つの区分がありますが、一番厳しいE1の光度※は2,500cd以下。つまりアウルビームはとてつもなく厳しい条件をクリアしたすごい照明なのです。実は、一般的な遮光ルーバタイプだと一番基準がゆるいE4の明るさ25,000cd以下をクリアするのも簡単ではありません。このため、アウルビームは人の命の安全にかかわり、審査が厳しい空港のエプロン(駐機場)でも導入されています。この一例だけでもアウルビームがどれだけ信頼性がある照明であるかがイメージできるのではないでしょうか。
※減灯時間前最大光度値

メリットの多いアウルビームですが、じつはこのダブルレンズのしくみはもともと光害対策とは異なる分野での展開を想定していました。これが社内で「光害対策としても有効ではないか?」と投光器に技術が応用されたという面白いエピソードがあります。ある意味、幅広いジャンルのモノ作りをするパナソニックだからこそ生まれた製品だとも言えますね。実はこの革新的なアウルビームはどんどん進化しており、今も新しい技術を開発中です。新製品はレンズ1枚で光の漏れを制御。シングルレンズにすることで従来製品よりも光のロスが抑えられ、少ない台数で従来と同じ明るさにできるため、エコにもつながります。

光漏れとグレア(まぶしさ)の抑制を両立する投光器
アウルビームER
https://www2.panasonic.biz/jp/lighting/outdoor/floodlight/light_harm_measures/
 
防犯灯や道路灯、駐車場の投光器といった屋外照明は、我々の生活にあたりまえのように存在しています。そんなあたりまえの存在にも、パナソニックはさまざまな「優しい技術」を凝らしていることがおわかりいただけたのではないでしょうか? 今後、夜に出歩くときはぜひ屋外照明にも注目してほしいと思います。

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