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「あたりまえ」の不便を、新製品で「ありがとう」に変える

始まりは100年前。電気とパナソニックの原点はここから

時を遡ること1912年・・・大正時代から各家庭に電気が通り、それまで主流だったガスやオイルランプよりも安全にあかりが取れるようになりました。

電気が人々の生活に届いて間もない頃は、電球以外の家電がなく「電気=灯を光らせるもの」という認識でしかありませんでした。その上、「電球ソケットは一戸に1つ」が当たり前の時代でした。

当時の部屋を再現したもの(松下幸之助歴史館)

さて、大正もしばらくすると電気を使ったアイロンやコタツ、扇風機などが売り出されます。
しかし当時はまだコンセントがない時代・・・家の中で電気をとることができるのは、各ご家庭にたった一つの、電球ソケットからのみでした。
そのため、家電を使うときにはわざわざソケットから電球を取り外し、そこから電気をとっていたのです。

そんな中、1918年にパナソニックが創業されます。家電の電気を電球ソケットから取る「アタッチメントプラグ」を製造・販売するためです。

当時のパナソニック製アイロン。コードの先にはコンセントプラグ…ではなく、ソケットに挿し込めるようにねじ式のアタッチメントが。

既に他社からもアタッチメントプラグは発売されていましたが、コードが絡みにくく、なにより丈夫な製品だったため、「これは便利!」と評判が広がり、たちまち量産することに。
パナソニックは、一躍有名となりました。

【ここで豆知識!】
実は100年経った現代でも、電球ソケットに挿し込んで電気を取るタイプのアタッチメントは販売されています。100年前とは少し形を変え、縁日の屋台などが電球ソケットから電気を取る「セパラボディ」として、年間10万個も販売されています。

電球ソケットにねじ込むとコンセントになる「セパラボディ」

生活の中の小さな「不便」を見つけ出し、「便利」に変えていく

さて、時代は進み、アタッチメントプラグが広く流通した後…次なる不便は夜でした。
夜は明かりを灯すのに電灯を使ってしまうので、寒い夜はコタツが使えず、暑い夜でも扇風機が使えません。

そこでパナソニックが発売したのが、電球ソケットを二股にした2灯クラスタ

2灯クラスタ。片方に電球、もう片方に家電をつないで、同時に使えるように

見た目の通り、一つの電源を二つに分けて使うことのできる、とても画期的な商品でした。
これで、いちいち電球を取り外す必要もなくなり、夜に電灯を灯しながら、同時にコタツや扇風機がつかえるようになったのです。

「一つの電源を複数に分ける」。馴染みのある機能じゃないですか?
そう、この2灯クラスタ、現代でいう三又ソケットの先駆けなのです!こちらは1933年に製品化し、今でも発売されているロングセラーとなっています。

同じ発想の2又、3又ソケット。これも1933年以来のロングセラー

その後も、『夜中にトイレに起きてもスイッチの場所がひとめで分かる「ほたる」スイッチ』、『トイレの電気は消してもしばらく換気し続けるトイレ換気スイッチ』、『帰ったときに玄関灯を自動的に付けてくれる人感センサスイッチ』などなど…
パナソニックは、"日々の生活の中の小さな不便を見つけ、便利にする製品"を次々と開発してきました。

最近では、『夜になるとランダムに明かりをつける防犯用タイマスイッチ』、『USBコネクタ付きコンセント』、『触らなくてもON/OFFできる非接触スイッチ』など、時代や人々の移り変わりに合わせて、様々な機能を備えた商品が登場しています。

こうして「安全・高品質」に加え「あると快適、使って便利」な製品も作り出しているのです。

1976年のほたるスイッチ。廊下灯やトイレのスイッチとしてよく使われた
今はコンセントにUSB(Type-CとA)が付く時代。LANケーブルの挿し込みまでコンセントにできる

今では「当たり前」かも知れませんが、その製品が発売されるまでは“当たり前の反対語「あり難(がた)し」”だったのです。そして「あり難し」という言葉は「ありがとう」の語源なのです。

お客様の不便に気づき、お客様に「ありがとう」と喜んでもらえる製品作りをしています。
お客様から私たちは見えませんが、私たちは常にお客様を見ています。
これも私たちの「裏側の美学」です。

特許を公開!?会社の利益よりも「お客様大事」の心意気

マニュアルを読まなくても誰でも直感的に使える壁スイッチやコンセント。当初はメーカーによって形や機能、操作感がバラバラでした。

とくに戦後~昭和の中期にかけては、コンセントやスイッチは壁にボックス状のものをネジ止めしていました。

昭和のはじめは、電線を壁に埋め込まずに壁を這わせていた。

今のように電線も含めて壁に埋め込まれるようなったのは、昭和中期になってからのこと。
当時、登場したばかりの標準的なコンセントは、とても薄く作られており、雑にプラグを抜くとコンセント本体にひびが入り壊れやすかったとか。規格も当初は製造会社によってバラバラで、配線方法も異なるため電気工事も一苦労だったといいます。

昭和中期に登場した壁に埋め込むタイプ。ただ、構造上割れやすいという欠点が…

そんなお困りごとを解決すべく、パナソニックは独自のコンセントを開発。
上下に大きくしたコンセントで雑に抜き挿ししても壊れにくく、ドライバー不要で安全に配線ができる「フル端子」を開発します。
更には最大3つのコンセントやスイッチを自由に組み合わせられるようにしたり、大きさやネジ位置なども統一化。

これらの中には、数々の特許も含まれていました。
本来ならその特許を独り占めして、利益を上げたいと思うのが、企業というもの・・・しかしパナソニックは、この特許があれば安全で汎用的、電気工事も簡略化できることから、なんと特許を他社にも無料で公開したのです!

さらにこれを、日本全体の規格となる「JIS規格」とすることで、どのメーカーのスイッチを使っても、右を押すとスイッチON、左でOFFになるよう統一。コンセントの大きさも統一化され、より安全なものになりました。

特許公開しJIS規格化された壁スイッチとコンセント

これには、消費者だけでなく当時の電気工事士のみなさんも大喜び。施工が簡単で確実になり、新米も熟練者も関係なく、高い水準でスイッチやコンセントを設置できるようになりました。

こうして、今では当然となっている、各社共通のスイッチやコンセントができました。
例えば、現在は階段スイッチなどを除きほとんどのスイッチが「右側を押すとON」で統一されており、誰もが無意識にスイッチの右を押して明かりをつけています。ご存知でしたか?
最近の壁スイッチは押しボタン式でON/OFFを切り替えできますが、それもスイッチ中央~右側を押すよう、実は統一されているのです。

最近の押しボタン式の「コスモシリーズワイド21」や「ADVANCE」もスイッチ中央~右側を押すとONに。

そして、実はこのパナソニックの「特許公開」、コンセント以前の商品でも行われていました・・・

それはラジオです。
その昔、ラジオを製造する為の技術を一人の発明家が握っていたため、メーカー各社は自由にラジオを作れませんでした。そこでパナソニックは発明家から特許を買い取り、なんとそれをメーカー各社に公開したのです。
その後ラジオは、日本が誇る電化製品となり世界中で愛されるようになります。

企業は利潤を追求する団体ですが、パナソニックは「お客様大事」のモットーを掲げ、時には企業ではあり得ない特許公開を行うなど、常に国民全体、お客様の便利を第一に考え続けてきました。

“目立たず人知れず生活を影で支える”それが「裏側の美学」

スイッチを押せば明かりが付く、コンセントにプラグを挿せば家電が使える。その裏側では安心・安全と品質もしっかりと担保されています。

さらに、パナソニックは、「あると快適、使うと便利」を考え、どんなに小さなものでも常にお客様の不便を探しています。

「お客様大事」を一番に考え、時には企業として破天荒な特許公開をして国民全体の暮らしを豊かにしてきました。

とても小さいスイッチですが、そこには大きな夢があります。

「当たり前」と思っていた「不便」を、「あり難き」と思っていただける「便利」に変える。そしてお客様に「ありがとう」と言ってもらえるよう100年以上にわたり電材を開発・製造・販売してきました。

壁の裏などの見えないところからお客様の安心・安全を見守る私たちパナソニック。

目立たないから、美しい。
そんな「裏側の美学」を、これからもこの先も、追求し続けていきます!

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